【小説】『ストライクフォール』を紹介。ガガガ文庫の本格なSFといったらこの作品でしょ

 前回は、ゴールデンウィーク中に電子書籍サイト「BOOK☆WALKER」で開催されていたセール、小学館ガガガ文庫の「本格SF・ファンタジー特集」で対象作品となっていた『ハル遠カラジ』について感想を語りました。

 とはいえセール対象作品が主にファンタジー作品でSF作品が少なかったのですが、しかしガガガ文庫の作品を振り返ってみると本格SF顔負けのガチSFをやっている作品がいくつかありまして、すぐに思い浮かんだのが『ストライクフォール』でした。

 こちらの作品は、『BEATLESS』や『あなたのための物語』『My Humanity』などといった本格的なSF作品を多数発表していることでお馴染みの作家 長谷敏司によるライトノベル。印象として2010年前後くらいからSF作家として活躍されていたので、こうして再びライトノベルレーベルから上梓されたことに「まさかのラノベ作家復帰!?」と勝手に思ったこともあったり。

 しかし三巻まで出してそれ以降続報などまったくなかったものですので、巻数的に区切りもいいところだったので打ち切りになったのではと普通に思っていました。が、まさかの今年約四年ぶりに新刊が出るとのことで、『ストライクフォール』への熱が戻ってきた感じです。

 そんなわけで今回はラノベSF『ストライクフォール』について紹介。……とはいえもう読んだのが何年も前なので記憶を頼りに紹介となりますのでご容赦を。

  基本的な書籍情報。

  著者:長谷 敏司

 『ストライクフォール』

  小学館 ガガガ文庫より出版

  刊行日:2016/6/17

  あらすじ

 その時代、戦争は競技に成り代わった―。人型のシェルを身にまとい、広大な宇宙を駆けるチーム競技、ストライクフォール。鷹森雄星も、その熱狂に魅せられたひとりだ。弟は、トップリーグでのプロデビューが決まった若き天才、鷹森英俊。幼なじみの環に見守られながら、雄星は宇宙を目指すが―。「知ってるか、兄貴。宇宙では、あらゆるものが落ち続けてるんだ」だから、兄弟は空に手を伸ばした。欲しいものを、宇宙をその手に掴むために。SF界の俊英が放つ疾走スペースグラフィティ、待望の離陸!

 所謂ロボットものになります。とはいえよくあるロボットアニメとかだとロボットを兵器として使う戦争ものになりがちですが(ガンダムの影響が強いと思われる)、この『ストライクフォール』という作品では競技としてロボットを操縦するもので、つまりはスポーツものであります。

 もちろん元々は軍事技術として発展して戦争で使われていたという設定ではあるのですが、そこから一歩進んだといいますか、ある種の平和的利用として兵器だったロボットで競い合うというお話になる作品(だったはず)です。

 そういったことから、ロボットSFではあるのですが軍事SFというわけではなくスポーツSFとして描かれています。そしてスポーツものだからこそライトノベルとの相性がとてもよかったという印象を覚えています。

 ある意味少年漫画的とでもいえる熱量があり、また10代の少年少女のラブコメもあって、エンターテインメント作品として申し分ないポテンシャルを秘めた作品だった気がします。

 まあ少年漫画的といいますか、ザックリと内容を言い表すと野球漫画『タッチ』を宇宙空間でロボットSFにしたような感じです。まさにスポーツSF!

 そんなエンタメ特化の宇宙版『タッチ』みたいなスポーツSFですけど、しかしながらガチでSFをやっている作品でもあります。

 まあ作者がガチのSF作家であるので当然ではあるのですが、たとえばロボットが宇宙空間においての挙動の仕方などをちゃんと物理法則にのっとって描写しているなど、科学考証が細かい。

 そういったSFとしての設定の細かさがしっかりしている印象で、他のラノベSFやSFアニメみたいなちょっとファンタジーな部分が混ざっちゃっているみたいなことがほぼなかったことを覚えています。

 なんでしょう、ロボットアニメとかだと『アルドノア・ゼロ』とか結構科学描写があって(ガバガバだという指摘もありますけど)リアルロボットの中でもよりリアルロボット感がある作品でしたけど、この『ストライクフォール』にも『アルドノア・ゼロ』に似たリアルさがあるのではと、振り返りながら思いました。

 つまりは宇宙を舞台にした『タッチ』で『アルドノア・ゼロ』が『ストライクフォール』なのかも!?

 まあただ分類としてはあくまでライトノベルですので、フィクションとしてハードルが高いというわけではないです。SF描写にしても作者の他作品と比べると控え目ではあります。……それでも充分濃厚なSF設定なんですけどね。

 あとこれは個人的に感じたことですけど、『BEATLESS』や『あなたのための物語』と違って、なんか妙に文章が読みやすかった記憶があります。まああの『BEATLESS』とか『あなたのための物語』に関しては話はすごく面白いけど自分とは文章の相性が合わなかったパターンでしたが、この『ストライクフォール』ではライトノベルを意識されたのか文体がシンプルでスルスルと読める感覚がありました。

 というか映像作品的な書き方をされていたので、よりエンターテインメント性を感じ、それこそこの作品アニメ化とかしたら映像映えするだろうなと感じたことを覚えています。

 ガガガ文庫の本格SFと言えば、個人的には『ストライクフォール』を推しますね。本格SFとライトノベルのいいところだけをうまく配合させた、そんなハイブリット作品であり、ライトノベルに限らず普通にSF作品としてもオススメしたいです。

 という感じで『ストライクフォール』の紹介でした。四年ぶりの新刊として第四巻が発売されるとのことで、また最初からおさらいしたいのですが……はて? 家の中に『ストライクフォール』の書籍が見当たらないのですけど、どこに消えたのでしょう? 新刊買う前に大捜索しなければならないみたいです(もしくは買い直すか?)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です