【小説】『ピュア』を読みました。文字通り、肉食系女子! いやホントに、そのまんま肉食系

 前回、利用している電子書籍サイト「BOOK☆WALKER」にてランクの話をしましたが、今回もそんなBOOK☆WALKERのランクシステムをきっかけに購入した小説について。

 BOOK☆WALKERは月の購入金額によって翌月のランクが決まるというのは前回お話した通りで、前回ではあとちょっとでランクアップするので半額セール作品を購入してなんとかランクアップさせるという話でしたが、今回はその逆。ランクアップまで全然足りてないので高い本でも買うか、といった感じ。積読を消化している月とかはこういった事態になりがちで、そういうときは大抵単行本一冊プラスαで無理やりランクアップさせています。……BOOK☆WALKERの策略にまんまとハマっている、ホントいいカモになっている感じはするものの、気にしない。

 そんなこんなで、久々に買った単行本の小説。以前から早川書房が告知しまくっていて実はちょっと気になっていた作品。タイトルは『ピュア』

  基本的な書籍情報。

  著者:小野 美由紀

 『ピュア』

  早川書房より出版

  刊行日:2020/4/16

  あらすじ

 遠い未来、地球軌道上の人工衛星で暮らす女性たちは、国を守るために子供を産むこと、そのための妊娠を義務付けられていた。ただしそれには、地上に棲む男たちを文字通り「食べる」ことが必要とされる―そんな変わり果てた世界で「普通の」女の子として生きるユミの葛藤を描き、ネット上で旋風を巻き起こした衝撃作のほか、幼馴染みの性的な変身をめぐって揺れ動く青春小説「バースデー」、未曾有の実験により12人の胎児の母となった研究者のドラマ「幻胎」など、性とともに生きる人々の姿を活写する5つの物語。

 表題作となる『ピュア』は、あらすじの通りに男性を食べる話になるのですが、このあたりのあらすじでは語り切れていない設定をより詳しく、かつネタバレにならない程度に簡潔に解説するとこうなる。

 現代でこそ少子化問題はあるものの、作中の物語においては環境破壊や感染症のほか戦争などで人口が激減した未来。劣悪な環境にも耐えられる新人類を生み出そうとして遺伝子改変を行うも、進化に成功したのは女性たちだけ。以降、身体は鱗に覆われて強靭な牙と爪をもつ、人型の肉食爬虫類へと変貌を遂げる。安定した環境の人工衛星に暮らし(環境適応のために遺伝子改変したというのに)、他所と戦争し、そして「狩り」として地上に残された男性たちを捕縛、子供を産むために性行為(逆レイプ)しながら相手を捕食するというのが、大まかな世界観。

 この作品はSFでも所謂フェミニストSFというサブジャンルに該当する。フェミニストSFとはウィキペディアによると「サイエンス・フィクションのサブジャンルの1つで、社会における女性の役割を扱う傾向がある作品群を指す。」とされている。つまりはSFの中で女性やジェンダーなどを主題に描かれた作品ということになる。フェミニストSFで代表的な作品といえば『侍女の物語』(マーガレット・アトウッド)になるかと思います。

 この『ピュア』という作品においても、進化した女性を主人公としており、表面的には男性を支配して女性によるユートピアを築いているものの、戦争と出産に明け暮れるという女性としての生き方を定められていてそこに疑問を抱き葛藤している様は、むしろディストピア的な物語ともいえるかと。

 また肉食爬虫類のように進化した女性たちは、軌道上の人工衛星から地上の男性たちを捕食するわけですので、ある種のエイリアンSFっぽさもあるなと、読みながら感じました。なんでしょう、パニック映画としてのエイリアンものってエイリアンに追われる人間を視点に描かれていますけど、この作品においてはむしろエイリアン側を描いていることになりますね。このあたりはエイリアンものとしてまた違った見せ方をしていて新しさを感じさせました。まあ、女性はエイリアンみたいなのはいつの時代も同じなのかもしれない(いろいろな方面で怒らせそうな言い方ですけど)。

 というのが表題作『ピュア』になります。短編ですのであまり語ってしまうとネタバレになりかねないので割愛。

 その他の収録作品では、発展した性転換技術によって親友の性別が変わり葛藤する少女主人公を描いた短編。性転換は技術的には気軽に行えるようになったものの、社会的や倫理的な面が追いついてなく、その狭間で揺れ動く当事者たちのドラマが見所かと。現代においても発展したIT技術などの法整備が間に合っていないところと重ね合わせると、あながちあり得なくもない未来観でもあって妙なリアリティがありましたね。

 あとは親友がスライムみたいな不定形になる話(百合として解釈もできそう)。発見された旧人類の精子を現代の卵子と受精させて蘇らせようとする中、卵子提供者の女性のドラマなど。

 全体的に女性観を主題にしたSF作品が収録されているといったところですね。

 ちなみにですが表題作の『ピュア』は早川書房のnoteで無料公開されているので、気になる方はどうぞ。

 もしも、女性が男性を食べないと妊娠できない世の中になったら? SF小説「ピュア」

https://www.hayakawabooks.com/n/n4a87df16f286

 という感じで、小説『ピュア』でした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です