【小説】『パーフェクトフレンド』を読みました。作者の作風がギュッと一冊に詰まった感じがありますね

 かねてより野崎まど作品『2』が気になっていたのですが、こちら初期の野崎まど作品をまとめて一つの続編みたいにした作品のようで、レビュー等ではいきなり『2』から読んでも問題ないようですが、やはり初期作品を網羅していた方がより楽しめるとのことで、長いこと(年単位)手を出せずにいました(ちなみに唯一読んだ初期作品は、デビュー作の『[映]アムリタ』です)。

 ところが去年に野崎まど初期作品の新装版が続々と刊行されたこともあり、これをきっかけに『2』に挑もうと思い、半年が過ぎました。

 いい加減読まねばと思いとりあえず手に取ったのが『パーフェクトフレンド』。一応新装版の第5弾にあたる作品のようでして、全然順番通りではありませんが(決してレビューに百合という文言を見つけて衝動的に読んだわけではない)、今回は小学生百合もの『パーフェクトフレンド』について。

  基本的な書籍情報。

  著者:野崎まど

 『パーフェクトフレンド』

  KADOKAWA メディアワークス文庫より出版

  刊行日:2011/8/25

 (新装版:2019/11/22)

  あらすじ

 少女たちの“トモダチ大作戦”。みんなよりちょっとだけ頭がよい小学四年生の少女・理桜は、担任の先生のお願いで、不登校の少女・さなかの家を訪れる。しかしさなかは既に大学院を卒業し、数学者の肩書きを持つ超・天才少女!手玉に取られくやしい理桜は、マウントを取るべく不用意に叫ぶ。「あんた、友達居ないでしょ!」かくして変な天才少女に振り回される『友達探求』の日々が始まるのだった…。野崎まど新装版シリーズ、「友情」の極意をお届けする第5弾!

 はじめて読んだ野崎まど作品は『know』でして、そのため個人的にはSF作家のイメージが強いです。デビュー作の『[映] アムリタ』もメインではありませんがSF風なオチの持っていき方をしていますし、それこそ『HELLO WORLD』ではエンタメとしての味付けをしつつ本格的なSFを描いています。『バビロン』でもSFらしいテーマを扱っていました。ちなみに個人的に気に入っているのは短編バカSFの『第五の地平』です。

 一方『パーフェクトフレンド』は表紙の雰囲気やあらすじの内容からではどう考えてもSFになりようがない作品ではあります。実際に読んでみてもSF要素はありません。

 しかしSFではないものの妙に論理的な内容でもあるのです。というのも作中に登場する天才少女さなかちゃんが「友達」について理論武装して証明するシーンがあるためです。この考察パートは普通に読むと、理桜ちゃんと同じく「何言ってんだコイツ……」という感想を抱くのですが、でも言っていることはある意味正論であり、理論としては筋が通ってしまっているのです。

「友達とは?」というのがこの作品の一つのテーマでもあるのですが、普通「友達」をテーマにしたお話だと割と感情的な内容になってしまうのではというイメージがありますけど、でもこの『パーフェクトフレンド』においてはある種硬派なアプローチをしているのがポイントになりますね。思わず「そうきたか!?」と感じましたし、同時に野崎まど作品らしい悪ふざけ感(いい意味として)があって面白かったです。

 野崎まど作品らしさ、というものを強く感じた作品でもありました。個人的なイメージとして、野崎まど作品はよくも悪くも後半ぶっこんでくる、みたいな感じがあるかと思っています。『HELLO WORLD』とかどんでん返しの連続ですし、『バビロン』でも衝撃展開で一気に話を加速させています。そしてなにより『正解するカド』というある意味レジェンドもあったりします。この『パーフェクトフレンド』でもどんでん返しというか、まさかの急展開が仕込まれており、ストーリー構成としての驚きもありました。

 と同時に、序盤から終盤まで、全編を通して小気味いいギャグが挟まれており、何気ない日常シーンにおいても純粋に読んでいて楽しかったです。加えて先述の友達についての論理的証明パートの場違い感も合わさり、余計に面白おかしくなっているのも印象深かったですね。このあたりは『第五の地平』や『野崎まど劇場』などで見られる悪ふざけ(いい意味)を感じます。

 そうそう。物語の本筋としては一応ミステリーになるかと思います。前半も短編的なライトな謎解き展開でもありますし、後半以降でも物語のオチに繋がるような大きな謎解き要素もあります(というかラストがとんでもない規模のトリックになってますけど!)。急展開や悪ふざけといった小技が目立つものの、一方で全体としても普通に読み応えのある作品でしたね。あと異常に読みやすい文体でしかも比較的に短い作品でもあるので、あっという間に読み終わります。隙間時間に楽しめる一冊でした。

 というか、素直に、女子小学生の百合って素晴らしいですね!

 いえ、クソ百合豚な自分が勝手に百合認定してますけど(一応作中でも百合要素はあります)、百合的においしいシチュエーションが多くて、ホント、マジ尊い……。

 と、百合で脳が破壊されている人が読んだ『パーフェクトフレンド』についてでした。

 そういえばなんですけど、『パーフェクトフレンド』のオチで「そうきたか!」と驚きましたね。「そこで『[映]アムリタ』と繋がるんかい!」みたいな。ちょっと他の作品も他作品との繋がりが気になりますし、いよいよもって『2』への期待感が出てきました。他も頑張って読んでいきます。

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