【小説】『こんな小説、書かなければよかった。』を読みました。面倒くせぇなコイツら! さっさと付き合えよ!(二回目)

 引き続きまとめ買いしたガガガ文庫ものですが、今回がラスト。

  書籍情報

  著者:悠木 りん

 『こんな小説、書かなければよかった。』

  小学館 ガガガ文庫より出版

  刊行日:2021/10/19

  あらすじ

 親友の恋を、わたしは小説に閉じ込める。「ずっと一緒に――隣にいてくれる?」「うん。永遠に」幼い頃に交わした約束。それ以来、わたしとつむぎは何をするにも二人一緒で、変わらない関係のはずだった。それなのに――。「私、恋がしたいんだ。しおりはそれを小説に書いて?」体が弱く入院中のつむぎが口にした『お願い』は、彼女と、わたしの昔馴染みの男の子との疑似恋愛を小説に書く、というもので――。一つの『お願い』から変わり始める、わたしたちの関係。恋と小説の中に、つむぎが求めるものとは?わたしと彼女、そして彼とで紡ぐ青春物語。

 以前ここで感想を書きました『このぬくもりを君と呼ぶんだ』の作者の最新作。『このぬくもりを君と呼ぶんだ』は第14回小学館ライトノベル大賞の受賞作で、受賞後の新作にあたる作品かと。

 その受賞作『このぬくもりを君と呼ぶんだ』では、SF的な世界観を舞台設定にした青春百合作品なのですが、登場する二人の少女がちょっとアレでして、かなり拗らせちゃっている面倒くせぇ女子そのもの。実際『このぬくもりを君と呼ぶんだ』を読んだときに思いましたけど、お互いがメンヘラ&ヤンデレで生真面目故に視野が狭くなっている結果、すれ違い&すれ違いでループしていて非常に面倒くせぇ。おそらく男であったら秒で解決しそうなことを文庫一冊分ウジウジしているものですから、もう「面倒くせぇ奴らだな! さっさと付き合えよ!」とツッコミたかった作品でした。

 そして今回の『こんな小説、書かなければよかった。』ですが、『このぬくもりを君と呼ぶんだ』みたいなSF要素がないだけで、大体似たような内容となっています。つまりは今回も、お互いがメンヘラ&ヤンデレで生真面目故に視野が狭くなっている結果、すれ違い&すれ違いでループしていて非常に面倒くせぇ、というお話。

 ただ今回はたちが悪い。

 今回の『こんな小説、書かなければよかった。』は所謂難病ものにカテゴライズできる作品。ただ一般的な難病ものだと男女のラブストーリーとして描かれますが、この作品ではそういった難病ものをパロディした内容で、そのあたりはあらすじにも書かれている通り。

 そんなわけでこの作品のヒロインは病弱属性であり、病弱だからこそ過保護にされた結果、かなりのわがまま娘として描かれている。それこそ作中において主人公から「お嬢様」とか果てには「女王」とか形容されるレベル。主人公以外には気をつかって大人しく遠慮がちではありますが、主人公に対しては一切の我慢などせずやりたい放題。

 で、このやりたい放題わがまま娘具合がまあーホント面倒くせぇ。その上主人公も主人公で異常なほどに依存しているわけですから、この共依存が相乗効果でより面倒くせぇことになっている。

 正直読んでいて「最初から本音で語り合えよ」とツッコミたいぐらいに、主人公たちのコミュニケーションがかなり頭悪い。このあたりは前作の『このぬくもりを君と呼ぶんだ』でも同じなのですが、ただ『このぬくもりを君と呼ぶんだ』に関してはSFだからこそ許された面もあるかと。

 というのも、前作『このぬくもりを君と呼ぶんだ』のSF要素である世界観設定がある種の主人公たちの環境であったり境遇であったりする部分に影響しており、作中で語られた少女二人のかなり面倒くせぇやり取りも、作品のSF要素やSF的テーマ性とうまい具合に合致していたものですから、一応SFものとしての読み応えに繋がっていました。

 一方で今回の『こんな小説、書かなければよかった。』ではSF要素がなく現代ものですので、そういった世界観設定からくるすれ違いなどなく、ただ単に人として拗れた二人が頭の悪いコミュニケーションを続けているだけ。そういった内容なものですから、読みながら「自分はいったい何を読まされているんだ?」と疑問に思った。

 と同時に、『このぬくもりを君と呼ぶんだ』もかなり面倒くせぇ作品ではあったのですが、それでもSFとして面白かったんだなと再認識されられましたね。

 ただまあここまで散々な感想を書いていますが、しかしながらこういった女の子二人のかなり面倒くせぇやりとりも、百合的なイベントとしては非常においしい。正直読む側からすると主人公たちのコミュニケーションは頭悪いなと思わなくもないですが、しかしこういった描写も等身大の女の子そのものでいいと思います。

 というか頭のいい円滑なコミュニケーションをする青春劇など、どこに見応えがあるだろうか? 若者なら若者らしくぶつかり合って傷つけ合いながらも精神的に成長していく様を描いてこそ青春作品になりえるかと。

 そういった意味では今回の『こんな小説、書かなければよかった。』は青春作品としてとても素晴らしいものだと思います(ただし非常に面倒くせぇけど)

 なんでしょうね、『このぬくもりを君と呼ぶんだ』は青春百合SFとしていい作品(面倒くせぇけど)で、『こんな小説、書かなければよかった。』は青春百合作品(面倒くせぇけど)としてよかった感じですかね。

 という感じで、ガガガ文庫まとめ買いラスト『こんな小説、書かなければよかった。』でした。

 ……なんか散々な感想ですけど、一応前向きな感想です。

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