【小説】『新世界より』を紹介。日本SFの中でも屈指の名作(ただしエログロあり)

 8月20日の19時から、ニコニコ動画にてテレビアニメ『新世界より』が一挙放送しました。

「なぜ今更?」と思い詳しく見てみたら、何やら『ネットホラーフェスティバル 2022』なる企画によるもので、その企画の一つにホラーアニメ一挙放送というのがあるらしく、テレビアニメ『新世界より』がラインナップされていました。……『新世界より』ってホラーか? いやまあ作者的にはホラーですし雰囲気もホラーですけど、個人的にはやはりSFのイメージが強いです。

 というかテレビアニメ『新世界より』が放送されたのが2012年10月で、もう十年前なんですね。時の流れが早すぎてちょっとショックです……。当時ドハマりしまして、それはもう毎週の放送を楽しみにしていましたし、原作小説も夢中になって読みましたね。

 ただまあ……当時の自分はまだ若かったこともあり、読むものといえばラノベばっかでしたので、当時の自分にとって一般文芸である原作小説『新世界より』は正直難しかった。内容が難しいだけではなく表現も難しく、しかもページ数が膨大……読むのに苦戦した覚えがあります。

 そんなこんなでニコ動での一挙放送をきっかけに『新世界より』の熱が蘇ってきましたので、今回は原作小説をベースにアニメの話を少々加えての『新世界より』について。

  書籍情報

  著者:貴志 祐介

 『新世界より』

  講談社 講談社文庫より出版

  刊行日:2011/1/14

 (単行本は2008/1/14)

  あらすじ(Amazonより転載)

  上巻

 1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力」を得るに至った人類が手にした平和。念動力の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた…隠された先史文明の一端を知るまでは。

  中巻

 町の外に出てはならない―禁を犯した子どもたちに倫理委員会の手が伸びる。記憶を操り、危険な兆候を見せた子どもを排除することで実現した見せかけの安定。外界で繁栄するグロテスクな生物の正体と、空恐ろしい伝説の真意が明らかにされるとき、「神の力」が孕む底なしの暗黒が暴れ狂いだそうとしていた。

  下巻

 夏祭りの夜に起きた大殺戮。悲鳴と鳴咽に包まれた町を後にして、選ばれし者は目的の地へと急ぐ。それが何よりも残酷であろうとも、真実に近付くために。流血で塗り固められた大地の上でもなお、人類は生き抜かなければならない。構想30年、想像力の限りを尽くして描かれた五感と魂を揺さぶる記念碑的傑作。

 SFとしては超能力SFになるかと。あとは純粋に千年後の日本を舞台としているので近未来ならぬ遠未来のSFでもありますね。

 千年後ということもあり作品の世界観や舞台設定などは奥が深く壮大なものとなっている。一方で実際の感覚としては、未来というよりはどことなくノスタルジックを感じさせる、田舎のような原風景のイメージがある作品でもあります。このあたりは原作小説でのシーンも印象的ですし、アニメの表現としても古きよき集落を描いているところです。

 このあたりは千年後を舞台にしているだけあって、ある種の文明が一周回って戻ってきたというものですかね。一度滅んで細々と復興した、遠未来SFらしさのある設定。

 その一周回ってきた文明に組み込まれた新たな技術体系というのが、この作品において重要な設定である「呪力」。念動力のような力を備わった新人類がこの作品の登場人物たち。

 実際に集落の社会でもこの呪力をベースに作り上げられたものであり、一見のどかで平和なユートピアとしての一面を見せる一方、その呪力の扱い方や捉え方によって子供たちを間引いたり前文明の真相を闇に葬ったりと、ディストピアとしてのダークな側面もあり、何気ないシーンでもどこか不穏な空気感があるのが特徴ですかね。そういった意味であれば確かに『新世界より』はホラー要素があるかも。

 そしてそういった不穏さのある集落にて少年少女たちの物語が展開していき、とくに登場人物たちが集落の外に出て真実のヒントを得るパートとかは、どことなくジュブナイルな冒険小説っぽさがある。こういったところは実にアニメ映えするシーンでして、自分としても印象に残っていますね。あれですよ、探索中に図書館と遭遇するあのシーンとか、夜間の舟漕いでいるシーンとか。確か1クール目の中盤あたりだった気がします。

 そんな健全な青春冒険譚のあとに控えているのが、かなり不健全(?)な中学生篇(年齢的に高校生くらいでしたっけ?)。少年少女が思春期に差し掛かるパートでもあるのですが、これがですね、ガチ百合でガチBLで、さらにはエログロセックス! といった刺激の強いシーンのオンパレード。「どうしてこうなった?」と思うと同時に「いいぞもっとやれ!」とテンションが上がったのはよく覚えています。

 そんな思春期時代を経て物語はラストの大人篇に突入して、これまでの伏線や謎などが一気に解消されていくクライマックスになる。ここでもグロのオンパレードで、とくに東京探索シーンとか、あとラストあたりの虐殺シーンとかが印象強い。

 とはいえグロばかりではなく、壮大な物語のラストシーンということもあって、物語の読後感は素晴らしい。長い小説というだけではなく、単純に結末としても秀逸な点も、この作品が傑作たり得る要素となっていると個人的には思っています。

 ちなみにですけど、テレビアニメ『新世界より』は2クールで放送されまして、今回のニコニコ動画の一挙放送も二夜連続で、20日土曜日は1クール目を、21日日曜日に2クール目を放送するみたいです。そうなると……多分男の子の一人が集落から脱走したところで区切られるのかな? いやもう全然覚えていませんけど、なんか2クール目の一話目でスキーで移動しながら捜索しているシーンはなんとなく覚えているので、おそらくそうかと。

 一応アニメ作品としての『新世界より』の特徴は、よく言われるのが作画崩壊ですけど、自分としては作画崩壊の思い出が皆無なので、そこまで酷くはないはず。むしろ演出として崩壊させているのではないかと思うが、さてどうやら……。

 あと声優としては、今や実力のある人気声優となった種田梨沙や村瀬歩の両名が初のメインにキャスティングされた作品でもあって、新人発掘としても価値のある作品ですね。とくに主人公を演じた種田梨沙は幼少期パートから大人パートまで幅広く演じ分けているところは、演技として見所ですかね。

 それとエンディング曲がアニソン史に残したいくらいの名曲でもあるのもポイントかと。

 そんなこんなで、予想以上に中身の薄い記事となってしまいましたが、もう十年前ですし、仕方がない。今夜のニコニコ動画一挙放送で今一度『新世界より』を振り返ってみます。

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