【小説】『5分間SF』を読みました。まさにタイトル通り! 初心者歓迎お手軽SF集

 新年あけましておめでとうございます。今年もこの『物語中毒者の戯言』をよろしくお願いいたします。

 というわけで(?)新年一発目は、去年購入したまま読み切れていなかった小説です。タイトルは『5分間SF』。

  基本的な書籍情報。

  著者:草上 仁

 『5分間SF』

  早川書房、ハヤカワ文庫JAより出版

  刊行日:2019/7/18

  あらすじ

 あなたはこのお話のオチ、想像できますか?宇宙に放り出され生死をさまよう男たちが取った究極の選択とは?恐竜を探しに降り立った惑星で取材陣が出会った衝撃の真実とは?幸せな生活を願って二人の未来をシミュレートしたカップルが手に入れた真実の愛とは?思わずあっと驚く結末が、じわりと心に余韻を残す、すこしふしぎなお話が盛りだくさん。1話5分で読めて、いつでもどこでも楽しめるSFショートショート。

 書籍のタイトルとあらすじでお分かりかと思いますが、こちら短い作品を集めたSF掌編集となっております。一編5分で読める、というのがこの小説のポイントとなるところですかね。自分みたいに小説を読むのがかなり遅い人だと一つ5分で読むのは難しいかもしれませんが、それでもあっという間に一本読めてしまう短さになっています。そんなSF作品が16話収録されています。

 掌編ということもあり、一つずつ掘り下げて解説していくと即ネタバレとなってしまうので、こればかりは解説等なしでそのまま読んでもらいたいですね。というか話が短すぎるので語ることがあまりない……。感想とか考察をググっている間にもう読み終えてしまうので、下手に下調べせずいいから読めよ! という感じですかね。

 そんなこんなで、全体を通して感想を述べると、この作品集はとても親しみやすいSFだと感じました。

 はじめの方に掲載されているSFは、良く言えば昔懐かしのSFといった感じですかね。ファンタジーよりといいますか、「ファンタジーもホラーもミステリーもまとめてSFだ!」と言わんばかりのバラエティ豊富さで、そこまで複雑な科学考証はせず一種の小話的なストーリーとなっており、SFに慣れていない方でもストレスフリーで読めてしまうライトなSFといった印象を受ける作品ばかりです。

 そして後半になるにつれて設定などの濃さが増していき、読み応えのあるSFへと変わっていきます。ラストの方では短いながらも結構重めのSFに仕上げられており、目の肥えたSFファンの方でも楽しめる内容になっているかと思います。後半に収録されている作品は割と現代のSFっぽさがある印象で、「数年前のSFってこんな感じだったなー」と感じさせるものがありました。

 ……といった感じで、一冊でSFジャンルにおける時代の流れを堪能できる構成になっていました。まあこの作品集に収録されている作品は、作者が90年代から2000年代にSFマガジンで発表した作品を一冊にまとめたものなので、時代の流れを感じてしまうのは当たり前といえば当たり前ですけどね。途中書き下ろし作品や最近発表された作品も間に挟みつつも、基本は発表された年代順に掲載されているみたいです。

 その他内容的には、タイムパラドックス系の話がいくつかあり(収録タイトル『断続殺人事件』『ひとつの小さな要素』『予告殺人』など)、それぞれ違った解釈見解を見せてくれるので、SFとしていろんな楽しみ方ができますね。あとアンドロイド系の話とか、サイバーものの話などなど、SFとして面白い作品が多かったですね。個人的には最後のあたりに掲載されていた『生煙草』と『ユビキタス』がお気に入りです。

 全体的にミステリー要素もある作品が多く、この辺りが公式のあらすじにもある「あなたはこのお話のオチ、想像できますか?」というキャッチコピーに繋がる部分になってくるかと思います。あと人の性(さが)を問いかけるといいますか、「人間」という存在を皮肉るようなテーマ性があり、思わず考えさせられるオチもありました。イメージだけなら『世にも奇妙な物語』に近いものを感じます。

 そんなこんなで、「SFがどういったジャンルなのかがわからない」「SFに興味があるけど何から読めばいいのかわからない」といった方にオススメしたい一冊でした。掲載順的に、最初はゆるーくライトで親しみやすく、そして徐々にSFらしいハードさが出てくる構成。しかも一編5分で読めるという謳い文句で、たとえ5分で読めなくても精々10分か15分くらいで一本読み終えることができる手軽さ。これほどまでにSF入門作品として相応しいものはないかと思いますね。これを読んでもまだ「SFはちょっと……」という方は、もうSFジャンルを諦めた方がいいくらいです。

 お正月休みで暇な人や逆に休みだから忙しい人もいらっしゃるかと思いますが(そもそもお正月休みがない方もいるかと)、ちょっとした隙間時間に一編ずつ読み進められるお手軽小説ですので、気が向いたときにサッと一読してみはいかがでしょうか。

 そんなわけで、SF掌編集『5分間SF』でした!

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