【小説】『明日の世界で星は煌めく』を読みました。ありきたり? 新鮮? 少女終末サバイバル

 前回は、電子書籍サイト「BOOK☆WALKER」のキャンペーン「百合の日」で購入したものを読みましたが、今回もキャンペーンでお買い得になっていたものを読むことに。

 とはいえ前回読んだものがページ数が多い硬派な作品で読むのに時間をかけたこともあって、結局積んでしまい読むまでに期間が空いてしまった。ただまあ今回はライトノベルということもありサラッと。丁度硬派な作品のあとで軽いものを読みたかったので、偶然とはいえ結果オーライ。

  書籍情報

  著者:ツカサ

 『明日の世界で星は煌めく』

  小学館 ガガガ文庫より出版

  刊行日:2019/11/19

  あらすじ

“終わった世界”で二人の旅が始まる――その境遇から「魔女」と呼ばれてきた少女・南戸由貴の環境は、高校へ進学しても変わらず、暗い日々が続いていた――続くはずだった。入学式の翌日、世界は終わった。街にあふれた生気のない人型の怪物・屍人にによって、人類は終末をもたらされた。それから一ヵ月。由貴は事件から行方不明となった父親の遺した“魔術”と使い魔の力によって生き延びていた。ある日のこと、生活用品の補充のため屍人が溢れる街へと繰り出した帰り道、由貴は銃声を耳にする。自分の暮らす街に助けたいと思える人間はいない。そう考える由貴だったが、かつて、一人だけ、中学時代に仲良くなった少女がいた。転校した彼女のことを思い出し、奮起し助けるために銃声の方へ由貴が向かった先で出会ったのは、まさに転校したその少女・榊帆乃夏だった――。帆乃夏の目的のため、由貴は協力することにしたのだが……。『銃皇無尽のファフニール』『ノノノ・ワールドエンド』のツカサ×『ふりだしにおちる!』『先パイがお呼びです』のむっしゅによるガールズサバイブストーリー、開幕!

 この作者さんといえば、自分としては『ノノノ・ワールドエンド』の印象が強いですね。ただ『ノノノ・ワールドエンド』は早川書房ということもあって一般文芸としての作風でしたが、今回の『明日の世界で星は煌めく』はガガガ文庫でライトノベルということもあって、作風としてはかなり軽い。

 所謂ゾンビパニックもの。ゾンビ作品は映画はもちろんゲームでも漫画でも数多くの作品が発表され、それだけに有名な作品が多いジャンル。おそらく適当な人に「好きなゾンビ作品は?」と尋ねれば、何かしらの作品をあげてくれるくらいにはメジャーなジャンルではなかろうか。

 それだけに、もはや手垢がついているほどにやりつくされたジャンルでもあり、新しいことを求めて奇抜なものとするか、あるいは割り切って王道としてストレートに描くか、の二択になるかと。

 そういう意味であれば今回読んだ『明日の世界で星は煌めく』は、よくも悪くもゾンビ作品といったもの。

 まず悪い意味で言うならば、ゾンビ作品として少々ありきたりであるところ。ある日突然街にゾンビが溢れて主人公は何とか生き残ってサバイバルする、というプロットはこれまでに散々描かれてきた。その部分にはこれといって目新しさはない。

 一点目新しい部分といえば、この作品では魔法の存在があって、主人公の少女は「魔女」として活躍するところ。しかもこの魔法が割と便利なもので、使い方によっては幅広い用途に使えそうな汎用性があり、また使い魔もマスコット的立ち位置でありながら強力。さらには主人公の自宅は龍穴的なものの真上にあって、結界によって外からの干渉を受けない安全地帯などと、万能過ぎる。さすがにこれはちょっと、魔法の設定がゾンビの存在ありきではないかとツッコミたい。

 ということもあって、『明日の世界で星は煌めく』は作品としてはゾンビものなのですが、しかしながらホラーやパニックものに分類するにしては緊張感がないし、ポストアポカリプスとしてのSF要素はあるものの、ほぼほぼ現代を舞台にしたファンタジーとして捉えるのが妥当かと。

 こういった部分がよくも悪くも一般的なゾンビ作品との差別化になっていると、読んでいて感じました。

 またこういった緊張感のないゾンビ作品は、ジャンルとしては「新日常系」に該当するかと。有名な作品でいうと漫画作品の『がっこうぐらし!』とかですかね。『がっこうぐらし!』のライトさに、小説作品『裏世界ピクニック』のような百合サバイバル要素を組み合わせたものが、今回の『明日の世界で星は煌めく』という作品になるかと思います。

 ゾンビ作品という部分だけに注目してしまうとありきたりな内容ですが、そこに新日常系や百合など、それこそファンタジーといったライトな要素を加味して読むと、既存のゾンビものとはまた一味違った印象になるかもしれませんね。

 そういう意味でも、よくも悪くもゾンビ作品だった、という感想です。

 おそらくこれ……読者側の読み方次第では面白いとつまらないが二極化するかも。ゾンビものとしてありきたりと感じるか、それとも百合新日常系として楽しむかによって印象が異なるかも。自分の場合は割と早々にゾンビものとしては割り切り百合として楽しみましたけどね。読者側にカスタマイズ性がある作品ということであれば斬新かも。

 この作品、ライトノベルということもあって軽く読めるのですが、でもこの軽さはむしろ漫画作品と相性のいい感じかも。コミカライズでもいいですけど、個人的にはストーリー原案として漫画媒体で発表してほしかった作品でしたね。ラノベのシリーズ第一巻でとくに何も解決しておらず序章でしかないところも、連載漫画らしさがあるしね。

 そんな感じで、新日常系の百合ゾンビファンタジー『明日の世界で星は煌めく』でした。

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