【小説】『放課後地球防衛軍 1 なぞの転校生』を読みました。いい意味で懐かしいラノベSFらしさがある

 私事ですが引っ越しをしまして、これまでに比べて仕事場までの距離が半分程度となり楽にはなったのですが、しかしながら毎日の行き帰りの電車の中で読書をしている自分としましては、引っ越しをしたことで読書時間が半分以下になりました。

 なんか「最近読書がはかどらないなー」とぼんやりと思っていたのですが、よくよく考えてみたら読んでる時間が減っているので、それははかどらなくて当たり前の話。

 そんなこんなで減った読書時間を補うように(?)ページ数が少なめの作品を探して読むことに。今回読んだものはおよそ300ページくらいのものです。

  書籍情報

  著者:笹本祐一

 『放課後地球防衛軍 1 なぞの転校生』

  早川書房 ハヤカワ文庫JAより出版

  刊行日:2016/11/22

  あらすじ

 11月、獅子座流星群の夜。銀河に出逢う放課後のはじまり――太平洋岸の過疎の地方都市・岩江。市内唯一の高校の天文部員、祥兵、雅樹、マリアは、顧問の杏先生と共に夜空が墜ちるような流星嵐を観測した。翌日、彼らの前に現れた転校生の悠美。入部希望だという彼女は「岩江の大人達が隠す地球の秘密を知りたい」と微笑む。地下の大空洞を皮切りに、次々明らかになる鄙びた町の真実。はたして悠美の目的とは? 笹本祐一、ハヤカワ文庫初登場! ド田舎から大宇宙を望む新シリーズ開幕。

 この作品の作者といえば『ミニスカ宇宙海賊』で有名な方。アニメファンであれば『モーレツ宇宙海賊』の方が馴染みがあるかも。テレビアニメ『モーレツ宇宙海賊』の原作が小説『ミニスカ宇宙海賊』。詳しい事情はわかりかねますが、おそらくミニスカが放送コードに引っかかるからタイトルを変えたと思われますが、それにしたって「モーレツ」って……。

 そんなこんなで『モーレツ宇宙海賊』もとい『ミニスカ宇宙海賊』の作者による新シリーズが今回読んだ『放課後地球防衛軍』になります。

 まあ若干ネタバレ気味かもしれませんが、つまるところ謎の転校生が宇宙人の手先だった、という感じの青春SFものになる。

 自分は世代的に『涼宮ハルヒの憂鬱』の全盛期に直撃しているせいもあって、自分としては長門有希みたいな設定だと感じました。いやまあ長門有希みたいな無口系ヒロインではないんですけどね。

 むしろ本来なら『涼宮ハルヒの憂鬱』の長門有希で例えるのではなく、それこそもっと昔のSF全盛期のジュブナイルもののパターンといえるのかも。なんか、そこまで詳しくないのですが、70年代とか80年代とかの作品に学園SFものってなぜか多いイメージがあります。『時をかける少女』とか『ねらわれた学園』みたいな感じのやつ。

 そんな学園SFものを今この時代でやった作品といえるのかも。そういうこともあってか、出ているのが早川書房のハヤカワ文庫JAではあるのですが、内容的にはまさにライトノベルのよう。そのライトノベルらしさも、近年の異世界ファンタジーとか青春ラブコメみたいなものではなく、どちらかといえば昔懐かしのライトノベルという感じのラノベ感かもしれない。

 話としては、まあタイトルが『放課後地球防衛軍 1 なぞの転校生』とナンバリングされているだけあって、一巻だけだと少々物足りないかも。

 謎の転校生が来てなんやかんやする話ですが、なんか途中の天文台の見学パートが長くない? 学園SF青春SFといえばそうなんですけど、読み手としては長々と

社会科見学を読まされて、SFとしては薄味な気がしました。SFというよりは天文のうんちくを見せられている感覚。そのうんちくもSFファンであればまあ馴染みのあるものでして、正直目新しさは感じられなかった。

 そんな中盤の天文台への社会科見学パートを経て終盤の種明かしパートでは一気にSF感が上がる。というか中盤の天文台パートは必要あったのかと思ってしまうくらいにラストにSFが集中している感じですかね。そのSFも割とトンデモ展開ではあるのですが、まあでもそういうのも含めて古き良きライトノベルらしさがあって面白かったです。

 なんでしょう、シリーズものの第一巻ということもあって、起承転結の起の部分なんですよね。一巻まるまる使って起承転結の起を描いた感じかと。一巻だけだと物足りないというのもそういう事情。ある意味俺たたエンド。

 ただシリーズものであれば全然いいと思うのですけど、このシリーズ……二巻までしか出てないんですよね。

 いやさすがに……一巻目のあの内容から二巻で完結するような内容とは思えないんですけど……。これ、もしかしてシリーズ打ち切りになってる? 打ち切りになっているのであればこのまま一巻だけ読んで終わりにしたいのですけど……。

 という感じで、『放課後地球防衛軍 1 なぞの転校生』の感想。文庫一冊の単体作品としてみると正直微妙だったのですが、シリーズものの序章としては面白かったです。けど、シリーズ続くのが不安な作品ってところですかね。

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