【映画】『天気の子』を見てきました。これはリピートしなきゃいけないタイプの作品だ!

※この記事は、小説投稿サイト「カクヨム」にて2019年8月3日に公開されたものを一部修正して転載しています。

カクヨム版

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 7月19日(金)に劇場公開されました新海誠監督最新作『天気の子』を見てきました。公開直後はまあちょっといろいろありまして楽しめる状況でなかったのと、月末は普通に忙しかったこともあり、8月になってようやく見に行けた具合です。率直に面白かったですよ。というわけで今回は話題作『天気の子』について。

 公式ページ:https://tenkinoko.com/

 あらすじ

「あの光の中に、行ってみたかった」高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らすその少女・陽菜。彼女には、不思議な能力があった。

 予告(YouTube)

 今作『天気の子』は所謂セカイ系と呼ばれる物語です。セカイ系とは簡単に説明するならば、「主人公たちの個人レベルの関係性がそのまま世界といった大きな問題に直結している」といったところでしょうか。正確な定義についてはググってください。2000年代頃にブームとなり、『最終兵器彼女』や『イリヤの空、UFOの夏』などが代表作としてあげられます。また同時期の作品で『涼宮ハルヒの憂鬱』もセカイ系とされ、今年に刊行された角川文庫新装版において、解説を務めた筒井康隆というSF界の大御所である大先生も解説の中でセカイ系について言及されていたと記憶しています。

 こういった2000年代に流行ったセカイ系を、2019年の今の時代のフォーマットに落とし込んだのが、この『天気の子』という映画になるかと思います。『天気の子』では、王道的なボーイミーツガールを主軸に、世界と彼女との選択といったセカイ系としてのオチにしたものでして、ボーイミーツガールとしてもセカイ系としても教科書的と言いますか、優等生的な物語に仕上げられています。

 ただ、今はもう古き良きジャンルとなったセカイ系を今の時代にやることに、とても意義を感じます。実際に劇場に行ってみると高校生や大学生といった若い世代のお客さんで満席となっていまして、世代的にセカイ系に触れたことがないであろう方がメインのように思えました。最近の作品だとセカイ系って珍しいものとなってしまっているので、若い世代にとっては逆に新鮮なのでは、と感じました。物語もストレートな青春ラブストーリーとなっているためか、上映後の若い方の反応はとてもよく、友達同士で語り合いながら満足して劇場をあとにしていましたね。こうした若い世代の中から新しく誕生するクリエイターが、『天気の子』をきっかけにセカイ系というジャンルに挑戦してみて、その結果再びセカイ系のブームが来るのではと密かに思ったりもしています。

 記録的大ヒットとなった映画『君の名は。』から三年。前作によって新海誠というアニメーション監督の知名度が一般にも広まったことにより、公開前から様々なメディアで注目されていて、今作の期待度はかなり高いと感じていました。

 一方自分は、そこまで期待していませんでした。というのも、一発大きいのを当ててしまったのですから、それと同程度もしくはそれ以上のものを期待してしまうのはあまりにも酷ではないか、と思っていまして、『君の名は。』ブームの中自分は「次回作は過度な期待はしないで気楽に温かく見よう」といった気持ちでいました。それでも『秒速5センチメートル』や『言の葉の庭』クラスの良作を安定して出してくるでしょう、といった期待はしていました。

 で、実際に最新作『天気の子』を鑑賞したわけですが、やはり『君の名は。』と比べると控え目ではあるものの素晴らしい作品でして、仮に『君の名は。』が100点だとすると、今作の『天気の子』は80点くらいな感覚で、八割満足できたのなら充分良作ではないか、と感じました。

 ただやはりというか、『君の名は。』と比べることはせず単体でどうだったのかと感想を述べるべきなのですが、しかし『君の名は。』というある種の怪物と比べると、『天気の子』は薄味だったような印象を抱きました。そしてその部分がどこか腑に落ちないものがありまして、もう一回見てきました。ええ、8月1日(木)に初見で、翌2日(金)に二回目という、二日連続で『天気の子』を見ました。

 で、二回目を見たところで、この作品の印象が大きく変わりましたね。

 二回目で気がついたのが、この『天気の子』には小ネタがあまりにも多いということ。

 たとえば伏線。普通にストーリーを追いかけるだけでも充分お話を楽しむことができますが、しかし作中に登場する伏線をしっかり拾えていると、より物語の解釈が深まるような作りになっています。とくにこの『天気の子』では、さり気ない伏線、何気ないシーンにおいて演出で伏線を表現しているものがあります。

 たとえば主人公の帆高が序盤で拳銃を拾う場面。拳銃が紙袋に入れられ捨てられていたわけですが、これをなんとなく見ていると「ヤクザが抗争のどさくさで捨てたのかな?」と思うくらいと言いますか、実際自分は初見のときそう想像しました。しかし帆高が拳銃を拾う場面よりも前に、新宿で漫画喫茶暮らし中にバイトを探している場面において、背景の街頭ビジョンで銃についてのニュースが流れているシーンが一瞬だけあります。そのニュースのシーンによって、なぜあの場所に拳銃が捨てられていたのかといった理屈をちゃんと用意されているのです。

 また天気の巫女の話にしても、序盤で帆高が編集プロダクションのアルバイトの初仕事、占い師のババアに取材して、その後帆高は「ラノベの設定みたい」と呆れる場面があるのですが、そのババアの話がまるまる重要な設定開示となっていたのです。

 このように、『天気の子』は伏線の出し方が自然と言いますか、悪く聞こえるかもしれませんがあざとくいやらしいと感じまして、「これ二回目じゃないと気がつかないよ!」といったものがとても多かったです。

 そしてこれらの巧妙な伏線に気がつくことができると、より物語の考察が捗り、ストーリーに深みが増していくように仕上げられているのです。

 あと伏線以外の小ネタとしては、今作はファンサービスに富んだ内容でした。前作『君の名は。』の登場人物がゲスト出演していまして、瀧くんとか三葉とかはもう堂々と出ていますし、サラッと四葉も登場します。初見だとこの三人は劇中で確認できたのですが、エンドロールでテッシーとサヤちんのクレジットがあって、思わず「お前らどこに出てきたんや!?」とつっこみたくなりました。で、実際二回目でテッシーとサヤちんを見つけたわけですが、正直「こんなのわかるわけねぇだろ!」といった具合に影の薄い登場でした。

 さらに声優ネタも豊富で、カナ役に花澤香菜、アヤネ役に佐倉綾音と、「これはギャグかな?」といったキャスティングがされています。また兼ね役関係ですと、プリキュアのコスプレイヤーの声が花澤さんだったり、スカウトマン木村を演じた木村良平(これもギャグキャスティング?)も子供の声を演じていて、それら兼ね役ネタは二回目で気がつくことが多かったですね。あと何気に占い師のババアの声が野沢雅子だったのがすごかったです。なんと言いますか、こういった小ネタはオタクじゃないとわからないよ、といったものがあり、一般向けの劇場アニメであってもアニメファンに向けたファンサービスを心掛けているようにも思えました。

 こうした伏線や声優ネタといった小ネタがあまりにも多くて、初見で気がつくものもあれば何回も見ないと気がつかない非常に細かいものもあり、一回の鑑賞ではとてもすべてを拾いきれないボリュームがあると感じます。そのため見る度に新しい発見があるのが、この『天気の子』という映画の特徴なのかもしれません。

 前作『君の名は。』は、意外性のある展開により「リピートしたくなる映画」といったものでしたが、今作『天気の子』は「リピートしなければならない映画」といったところでしょうか。それぐらいに、何度も鑑賞できてしまえる強度がある作品という印象を、二回目で抱きました。

 先程『天気の子』は80点くらいと書きましたが、確かに初見は伏線や小ネタを拾いきれてなくてそれ故の物足りなさを感じましたけど、二回目でより深く作品を掘り下げられた今ではもう文句なしの100点でして、充分『君の名は。』と同レベルの作り込みがされた素晴らしい作品だったという感想になりました。

『天気の子』は一見、一度鑑賞すればある程度の満足が得られリピートしにくい内容だと思われますが、しかしこの作品に関しては二回以上見ることをおすすめしたいですね。とくにアニメファンは何度も鑑賞して小ネタを多く拾ってより深く解釈と考察に勤しんでもらいたいですね。

 というか、個人的に『君の名は。』以上にブルーレイが欲しいです。家で何度でも見たいです。は、早うブルーレイ出して~。

 というわけで劇場アニメ『天気の子』の話でした。

 個人的には、陽菜さんがときどき見せるキツネ顔といいますか、角度によって鋭さを持った表情になるところがたまらないっス……。あと凪センパイはナイスショタで素晴らしい……。密かに凪×帆高の組み合わせはアリかもしれないと思ったのはここだけの話ということで。

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