【映画】『すずめの戸締まり』を見てきました。SFじゃなくまさかの伝奇ものだった

『君の名は。』や『天気の子』でお馴染みの新海誠 監督の最新作が、今月11日に劇場公開されまた。

 本当は公開日に見に行きたかったのですが……公開日を一週間ほど間違えて覚えていました。いやあの、ポケモン最新作のスカーレット・バイオレット(ポケモンSV)と同じくらいの時期と認識していたのですが、いつの間にか「ポケモンSVと同じ日」と記憶が改変されていて、やっちまったなーという感じです。

 それはもう、気が付いたらもう公開されててツイッターでも感想ツイートが……。最近はネタバレ防止のためツイッターのTLを見ないようにしていました。

 という感じで出遅れましたが、新海誠監督最新作『すずめの戸締まり』について。

 公式ページ

https://suzume-tojimari-movie.jp/

 あらすじ(公式ページより抜粋)

 九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。扉の向こう側からは災いが訪れてしまうため、草太は扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けているという。すると、二人の前に突如、謎の猫・ダイジンが現れる。「すずめ すき」「おまえは じゃま」ダイジンがしゃべり出した次の瞬間、草太はなんと、椅子に姿を変えられてしまう―!それはすずめが幼い頃に使っていた、脚が1本欠けた小さな椅子。逃げるダイジンを捕まえようと3本脚の椅子の姿で走り出した草太を、すずめは慌てて追いかける。やがて、日本各地で次々に開き始める扉。不思議な扉と小さな猫に導かれ、九州、四国、関西、そして東京と、日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”。旅先での出会いに助けられながら辿りついたその場所ですずめを待っていたのは、忘れられてしまったある真実だった。

 PV(YouTube)

 例のごとく事前情報を極力調べないようにして鑑賞しましたが、率直な感想として「いつもの新海誠作品でありつつ、いつもとは違う新海誠作品」というものでした。

 まずいつもと違う点としては、今回の『すずめの戸締まり』にはSF要素がなかったところ。『ほしのこえ』のような直球のSFから始まり、世間的に大ヒットした『君の名は。』や『天気の子』でもSF要素を取り入れた作風がひとつの特徴でもありました。

 もちろんSF要素のない作品も当然あって、『秒速5センチメートル』や『言の葉の庭』といったドラマ性を重視したものがある。あとタイトルが思い出せないけど、なんかジブリ風ファンタジーもあった気がする。

 そんなこともありいちSFファンとしては「SFアニメの監督」という印象が強いです。あとは純粋に青春ドラマを得意とする監督というイメージですかね。

 そういうイメージがあったからこそ、今回の『すずめの戸締まり』でSF要素がない点について、自分としては意外と思ったのが第一印象でした。

 続いていつも通りの点としては、作品のストーリー自体が古典をモチーフにしているところ。こちらについては、これまでの作品でも故事や日本神話などから着想を得たストーリーが多く、とくに近年の作品ほど古典を印象付けるような話が目立ちましたね。というか『言の葉の庭』とかストレートに古典を扱っているし。

 今回の『すずめの戸締まり』においては、災害を神による現象と位置付けて話を組み立てている。実際に日本でいうところの八百万の神々とかは、身の回りの自然や事象を神という観点から理解を深めようとしたものだと自分は思っています。

『すずめの戸締まり』で震災を神の仕業として解釈しているところは、まさに民俗学的な観点といえるのかもしれない。

 そういう点で『すずめの戸締まり』を読み解くと、『すずめの戸締まり』って伝奇作品なんですよね。

 古典から着想を得ているのは同じでも、そこから出来上がってくるジャンルがこれまでのSFではなく伝奇であるところは、新海誠作品としては意外な感じがしましたね。

 ジャンルは伝奇ものでも本編の内容としては、主人公すずめの成長物語である。幼少期のトラウマと向き合い、そして一歩前へ踏み出すための物語であり、十代の若者を主人公にした話としてはシンプルなストーリーラインだと思います。

 けど思ったのが、後半での取ってつけたような恋愛要素はいかがなものか? いやラストに向けての動機付けとして機能してはいるのですが、あまりにも浮いて悪目立ちしているものですから、結果としてラブストーリーにするにしても他にやりようはあったのではないかと思わずにはいられない。なんか、急に話が恋愛脳になった感じ。『君の名は。』でも『天気の子』でもここまで直球であからさまなラブストーリーではなかった気がする。

 そうそう、『君の名は。』と『天気の子』と比較すると、『すずめの戸締まり』はよくも悪くも優等生な作品だった気がします。『君の名は。』は中盤の意外性が効果抜群でしたし、『天気の子』はファンサービスに長けた作品でしたけど、『すずめの戸締まり』はそういうのが控えめ。

 いや別に優等生な作品であることが悪いわけではない。それだけ作品としてのクオリティが高いのも事実。ただ個人的にわがままを言ってしまうと「もうちょっとやんちゃな部分が欲しかったなー」という感じでしたね。いや悪くはないしむしろいい作品でしたけど、『君の名は。』や『天気の子』と比べてしまうとどうしてもインパクトに欠けている感覚でした。

 という感じで映画『すずめの戸締まり』を鑑賞した感想でした。

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