【雑誌】『S-Fマガジン 2月号』百合特集を読んで百合の楽しみ方を見出す

※この記事は、小説投稿サイト「カクヨム」にて2019年1月9日に公開されたものを一部修正して転載しています。

カクヨム版

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886711486/episodes/1177354054888123898

 今回はS-Fマガジン2月号を読んでのお話。

 S-Fマガジン2月号といえば、百合特集で話題沸騰になり、S-Fマガジンでは珍しく予約殺到で発売前に完売、増刷&増刷するという異例の事態となりました。ちなみに噂によればこういう異例の事態は二度目だそうで、以前は初音ミク特集のときだったそうです。

 そんなSF界隈と百合界隈でホットな話題のS-Fマガジン2月号。その百合特集を読みました。「百合」をテーマにした小説&漫画作品の連載や、コミック百合姫編集長をはじめとする百合インタビューの数々、それと百合作品ガイドなどなど、大変勉強になる内容で、これ資料本として保管していてもいいかなーと思えてきました。

 そもそも、百合とは何か?

 一通り特集を読み終えて思うことは、単純に女の子同士の同性愛を描くジャンルではないということでした。

 というより恋愛要素によって女の子同士の関係を描くのは狭義のガールズラブ(GL)であって、それは百合という大きなジャンルの中に内包する一部分でしかないのです。SFで例えるならば、SFという大きなジャンルの中に、より高度に科学的考察を用いたハードSFというジャンルがあるという具合です。

 そうなると広義の百合は、必ずしも恋愛感情が存在するわけではないのです。

 こちらは特集内の記事の引用となりますが、

「(前略)女の子同士というのは、相手と同化する感覚がとても強く、始めは拒否していても、一度相手を受け入れると、相手との共感共苦が細胞レベルにも及ぶのではないかと思うときがあります」

 とあります。

 強い共感、そして相手と同化ということならば、それは別に恋愛関係出なくても成立するかと思います。たとえば友人関係とか。あるいは敵対ライバル関係だっていいです。女の子が二人いてお互いに何かしらの興味関心があるのであれば、その時点で百合は成立するのです。

 究極的なことを言ってしまえば、女の子が二人いればそれだけで広義の百合です。

 つまり百合とは、女の子同士がいかに同化していくのかを描くジャンルなのでは、ということを特集を読んでいて感じました。

 同化、と言い表すと難しく聞こえるかもしれませんが、これを「相手の色に染まる」と言い換えるとわかりやすくなるかもしれませんね。恋愛関係でも友人関係でも、相手に興味を示し相手の色に染まっていき、最終的に色が中和される、みたいな。そういえば『リズと青い鳥』でも露骨に二色の色が混ざる意味深なカットがあったような気がします(うろ覚え)。

 そしてこのことは、別に百合として売り出されている作品に限ることではなく、むしろ受け手側が作品の中から見出すこともあるのです。たとえば所謂美少女アニメを見ているときに感じる唐突な尊さとかは、まさしく作り手が狙って演出しているのではなく(ものによっては狙っているかもしれませんが)、受け手が勝手に感じていることかと。

 これも特集記事の受け売りですが、「百合」というものを「萌え」でたとえるとわかりやすいかと。萌えを狙って安易にメイドさんや巫女さんを登場させても、そこにはテンプレートな萌えはあるかもしれませんが、心に響く萌えを得られるわけではないです。かといえば全然萌えとは関係なさそうな硬派な作品から不意に萌えを感じることもあるかと。

 百合の尊さを演出するために安易に同性愛を描くだけではなにかが違う場合があり、また全く恋愛感情がないのに百合の尊さを感じる場合もあるのは、ある意味では萌え文化に精通するものがあるのかもしれません。

 そしてこういった百合の尊さや萌え文化の萌え要素という、ある種言葉に言い表せられない特殊な感覚というものを、いい具合に表現できる便利な言葉があります。それはSF界隈ではお馴染みの「センス・オブ・ワンダー」です。

「センス・オブ・ワンダー」とはつまり、「一定の対象(SF作品、自然等)に触れることで受ける、ある種の不思議な感動、または不思議な心理的感覚を表現する概念であり、それを言い表すための言葉」(Wikipedia参照)です。

 よって百合の尊さや萌えなどというものにも「センス・オブ・ワンダー」という言葉は使えるかと。

 つまりは、

 百 合 に も セ ン ス ・ オ ブ ・ ワ ン ダ ー は あ る 。

 ということになります。

 またそういう意味では、百合とSFという二つのジャンルはとても親和性があるものだと感じますし、今回S-Fマガジンで特集されたのも得心が行くものがありますね。

 百合というジャンルはSFと同様、さらには萌えなどと同様に、明確に定義することができない概念的なジャンルだと思います。それこそ以前このエッセイで「SFは個人の裁量」ということを書きましたが、百合も同じく個人の裁量なのだと思います。それだけに百合というジャンルの奥深さと底知れなさを感じずにはいられません。

 ただ今回特集を読んで見出した百合の楽しみ方として、「女の子同士がいかに同化していくか」というポイントを押さえておくと、百合というものの理解が深まるかと思いますし、様々な作品にて百合の尊さというセンス・オブ・ワンダーを感じることができるかと考えています。

 百合を楽しむ際に、こういったポイントを意識されてみるのもいいと思います。

 最後に、特集として掲載されている百合小説『彼岸花』(著者:伴名 練)は傑作だったので紹介。歴史改変SFと人外百合のお話で尊さがヤバかったです。

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