【漫画】『裏世界ピクニック』もしかしたらコミカライズ版の方が好きかもしれない?

※この記事は、小説投稿サイト「カクヨム」にて2019年3月1日に公開されたものを一部修正して転載しています。

カクヨム版

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886711486/episodes/1177354054888669995

 以前『 百合が俺を人間にしてくれた――宮澤伊織インタビュー』を読んだとき、いろいろな意味で「ああ……この作家さんは只者じゃねぇな」と感じました。いやだってインタビュー内で「草原って百合なんですよね」という発言がありましたけど、これ普通なら「はい?」と訝しむところですよ。というか現に私は「何言ってんだこいつ……」感に襲われました。ちょっと何言ってるか分からない(富澤たけし風)。まあおっしゃりたいことは概ね理解できまして、つまりはインタビューで語られた「不在の百合」に集約されるのですが、これがなかなかレベルの高い百合という感じでした。「不在の百合」についての詳細はインタビュー記事をご覧ください。

 百合が俺を人間にしてくれた――宮澤伊織インタビュー

https://www.hayakawabooks.com/n/n0b70a085dfe0

 で、この作家さんの作品が『裏世界ピクニック』(早川書房 ハヤカワ文庫JA)でして、百合サバイバルホラーとしてシリーズ刊行されています。そして月刊少年ガンガンにてコミカライズが連載中です。

『裏世界ピクニック』は、主人公がひょんなことから現実世界とは違う裏側の世界を発見してしまうというお話で、インターネット上の都市伝説(ネットロア)を彷彿とさせる怪異から逃れつつも女子大生二人で裏側を探索する作品です。逆説的に、実は裏側こそがネットロアの元ネタでした!という認識で大丈夫です。

 タイトルに「裏世界」とついているためなろう系異世界作品っぽいイメージになりがちで、またタイトルの「ピクニック」からほのぼの系探索作品のような印象を受けますが、いやいやとんでもない。異世界系みたいなご都合的なファンタジーは微塵もなく、むしろ裏世界に跋扈する怪異があまりにも不気味で、およそピクニックとは言い難いほどに死線を彷徨う様はガチのホラー作品です。なぜこのタイトルにしたんだ? いやホントに。

 といった気味の悪い怪異や緊迫する九死に一生探索などといった要素から、原作小説を読んでいるときから「これアニメ化しないかなー」と密かに思っていまして、そこにきてのコミカライズだったので期待は大きかったです。

 そして事実、出来はよかったです。当たり前ですが小説版では文章として表現されているホラーシーンも、コミカライズによるビジュアル化でより視覚的な表現となり、作品から感じ取れる恐怖が倍増した印象です。

 結構小説ですと「ここはどういった場面なんだろう?」と感じるところがあります。とくに怪異の姿とか。八尺様編で八尺様の中身がどうなっているのかを原作小説の表現ではイメージしきれない部分もありましたが(自分の想像力の問題かもしれませんが)、漫画ですと絵なので直感的に納得できたりします。というかそのままだった。

 あと見開きで怪異のアップのシーンは素でビビった。いやだって、次のページ捲ったら気持ち悪い顔がドーンと出てくればさすがに「ウッ!」ってなりますよ。

 と思いきや、日常的でコミカルなシーンではキャラがデフォルメ化する箇所もあってキャッチーさが増している印象です。『裏世界ピクニック』の原作を忠実に再現しつつも、原作では表現しきれなかった緩急を作画で表現できているといった感じですかね。コミカライズ版を書かれている漫画家さんの解釈と取捨選択が巧みで、原作のよさをこれでもかと引き上げているところはとても好感が持てます。

 といった感じで、なんだかんだで原作小説以上にコミカライズ版を楽しんでいます。

 まあ私自身、あまり漫画の連載を追いかけないからこそ、新鮮さがあって余計に面白いと感じているのかもしれませんね。

 私事ではありますが、実は自分漫画という媒体が苦手なんですよね。

 個人的に「物語は結末が一番面白い」と感じるタイプの人間でして、どうしても完結主義になってしまうのです。カタルシスとでも言いましょうか、読後感が得られるものが気持ちがいいです。小説や映画なら一本で一つの物語が完結するから好きですし、テレビアニメやドラマなんかも最終回までの尺が決まっていてそこにあわせてストーリーをまとめていますから、完結主義者としては楽しみやすいです。

 反面漫画ってそういうわけにはいかないじゃないですか。連載というかたちで作品を発表しながら書いて話を作っていくみたいなイメージ。人気が出なければ中途半端なところで打ち切りになったりしますし、逆に人気作になってしまうと作品を長く支持してもらおうとして無駄に引き延ばしたりしますから、完結主義としては非常に読みにくいです。しかもジャンプ系は十何年も連載するからなかなか手を出しづらい。自分ワン〇ースとかナ〇トとか全然わかんないっス。BLE〇CHは子供の頃読んでましたが、いつの間にか挫折してました。

 ジャンプ系でまともに読んだのは、それこそ『ジョジョの奇妙な冒険』くらいですよ。でも『ジョジョ』って、第1部とか第2部とかといった具合で話が区切られていて一つひとつが独立した物語になっているじゃないですか。そういった意味ではシリーズとしては長期的だけど個々のお話としてはちょうどいい尺で読みやすいんですよね。ちなみに『ジョジョ』で好きなのは5部と6部です。

 また長期シリーズというとライトノベルとかもそうですね。ラノベも人気作になると十巻や二十巻とか出しますけど、でもラノベって大抵の場合一冊で一つのエピソードになるようになっていて(前後編として二冊とか、上中下として三巻とかありますけど)、一冊ごとにオチがあって自分のような完結主義の人間でも楽しむことができるのです。……まあ大体シリーズの途中で挫折してしまうのですがね。完結まで読めたラノベって『灼眼のシャナ』くらいです。そもそも完結してない(できなかった)タイトルもあるのでなんとも言えませんがね。

 勝手なイメージですけど、連載漫画の構成って起承転結ではなくて起承転起承転起承転……という先入観があります。いや自分が読みたいのは結の部分であって、起承転はあくまで結に至る下拵えなわけでして……そればっか続けられるとキツイっス。まあこういうイメージを抱いているから漫画が苦手なんですけどね。

 漫画で楽しめるのは、たとえばまんがタイムきらら系の四コマ漫画とか、あとは一話完結のコメディ作品とかですかね。あと完結主義として一気読みする影響で、少ない巻数で完結している作品とか。

 連載しているというなら、先程の四コマ漫画とか一話完結とか、それこそ『ジョジョ』みたいな連作ものとかですかね。

 で、『裏世界ピクニック』という作品は、原作の小説がそもそも連作短編形式になっているのです。だからこそコミカライズされても安心して結を期待できる面があるのかもしれませんね。というかそもそも原作読んでるから結を知っているし。

 そんなこんなで、原作小説のよさを倍増しているところが気に入り、また連載作品を追いかける面白さを楽しめているということにより、コミカライズ版『裏世界ピクニック』を堪能している自分がいます。今後の連載に期待。

 コミカライズ版は現在二巻出ており、原作小説の第一巻の後半に入っています。またガンガンONLINEでも配信しています。ちなみに今二巻が配信のペースに追いついているので、ガンガンONLINEで次回の配信を待てば二巻の続きをそのまま読めると思います。第一話もお試しとして配信されていますのでそちらもあわせてどうぞ。気に入ったら月刊誌の方のガンガンへ。

 ガンガンONLINE 『裏世界ピクニック』

https://www.ganganonline.com/contents/urasekai/

 あと全然関係ないことですが、漫画作品は完結してから一気読みしています。出費的にも時間的にも十巻前後で完結している作品が好ましく、学生の頃とかは『DEATH NOTE』とか読みましたし、アニメ化の影響で読んだ『四月は君の噓』とか『ハナヤマタ』とか読みました。今は去年完結した『citrus(シトラス)』を読んでます。

 十巻前後で完結しているオススメ漫画がありましたら教えていただけると幸いです。

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