【アニメ】「+Ultra」とかいう素晴らしい質アニメを量産する謎のアニメ枠

※この記事は、小説投稿サイト「カクヨム」にて2019年10月31日に公開されたものを一部修正して転載しています。

カクヨム版

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886711486/episodes/1177354054891996668

 今回は『BEASTARS』の話。いや、『BEASTARS』の話というよりは放送しているアニメ枠「+Ultra」についてのお話です。

「+Ultra」は2018年10月よりフジテレビ系列に新設された深夜アニメ枠です。フジテレビといえば「ノイタミナ」というアニメ枠が以前からあり、数々の名作アニメを放送してきました(傑作があまりにも多いため具体的なタイトルは割愛)。その「ノイタミナ」とは別にもう一つ作ったアニメ枠が「+Ultra」となるわけです。

 数ある深夜アニメ枠の中でも「ノイタミナ」は比較的年齢層高めのクオリティ重視作品が目立つ、珍しいタイプのアニメ枠という印象があります。一方「+Ultra」というアニメ枠は、「ノイタミナ」と同等のクオリティを維持しつつも「ノイタミナ」以上にディープでマニアックな作品がラインナップされている印象を受けます。

「+Ultra」第一弾となった『INGRESS THE ANIMATION』はスマホゲームを原作としたSF作品で、続く第二弾の『revisions リヴィジョンズ』は『コードギアス』でお馴染みの谷口悟朗監督の最新作、第三弾の『キャロル&チューズデイ』は『カウボーイビバップ』の渡辺信一郎監督のオリジナルSFアニメ、そして現在放送中の『BEASTARS』は数々の漫画賞を受賞した作品を原作としたガチケモナーアニメとなります。このラインナップを見る限り、昨今の流行に囚われていない斬新な作品を放送しているといったところですね。

 このある種尖った作品ばかりを集めているわけは、「+Ultra」というアニメ枠の企画内容がそもそも特異であるためです。

「+Ultra」新設時のインタビュー記事によりますと、「ノイタミナ」はドメスティック(国内的)な作品と位置付け、「ノイタミナ」とは違い海外を意識した作品の放送、といった趣旨を述べられています。

 記事:『フジテレビ:深夜アニメ枠を新設する理由 「+Ultra」で世界に向けた戦略』

https://mantan-web.jp/article/20181012dog00m200013000c.html

 昨今テレビアニメをはじめとする日本のコンテンツを有料ネット配信する海外サービスが充実し、海外のアニメファンが増加している傾向があります。海外の配信サイトといえば「クランチロール」が有名ですし、「Hulu」とか「Netflix」とかもありますね(関係ないですが「Netflix」のオリジナルアニメが気になっていますが、見る時間を確保できないため登録に躊躇しています)。

 またYouTubeでは日本のアニメ作品を視聴した反応や感想を述べるリアクション動画を投稿するYouTuberも多くいらっしゃいます。海外のリアクション動画が日本国内で注目されるようになったのは、アニメ『がっこうぐらし!』第1話の最後、衝撃のラストシーンのリアクション動画を複数人集めて転載された動画が拡散されたことがきっかけであると認識しています。また『進撃の巨人』や『STEINS;GATE』などの激しいストーリー展開の作品では、オーバーなリアクションだったり感想や考察を熱弁したりする様子は純粋に見ていて面白いので、外国の方によるアニメリアクション動画は国内外で一定の需要があるように思えます。

 さらに収益面としても、たとえば配信サイトに広告が表示されていれば世界中のアニメファンによる動画再生で莫大な広告収入が得られるので、配信しているアニメを制作している日本のアニメ業界にもお金が流れてきます。とくに中国市場とかになると、中国の人口が多い分やはりアニメファンの人口も多く、1話で一億再生を超える作品とか普通にあるみたいで、それが1クール(12話)となるわけですから、市場が巨大過ぎます。

 これまでのテレビアニメはあくまで日本国内に向けた放送をしており、その放送を字幕翻訳して海外の配信サイトで世界公開しているわけです。しかし海外配信の市場が無視できないレベルに急成長している昨今、企画の段階から海外を意識したアニメ作品作りを主旨にしたのが、去年新設された「+Ultra」という枠なのだと思います。「+Ultra」はテレビ放送と並行してNetflixでも配信されています。

(とくに『INGRESS』と『revisions リヴィジョンズ』はテレビで第1話を放送した後に全話Netflixで配信されましたので、テレビ組の視聴者が配信組からネタバレを受けるという、従来のテレビ放送と配信の時間差からは考えられない逆転現象が生じました)

 実際『INGRESS』や『キャロル&チューズデイ』とかは海外ドラマのような内容ですし、『revisions リヴィジョンズ』と『キャロル&チューズデイ』の監督は海外でも人気ある作品をこれまでに制作していますから、外国人受けしやすいのかもしれません。『BEASTARS』に関しては、ほら、海外にはドラゴンカーセックスとかいうキ〇ガイな性癖がありますし、普通に映画『ズートピア』人気もありますから、ケモナー的な需要が海外にはあるのだと思います。

(というか『BEASTARS』と『ズートピア』は作風的に近いものがあると思います)

 こういった海外向けの作風というのは、いちアニメファンの感覚としてはとても硬派なものに映ります。とりわけここ10年20年の間ライトノベルや漫画原作のアニメに慣れ親しんだ身としては、海外ドラマ的な内容をアニメーションで作られた作品はどことなく意識高い感じがして、物珍しさからとても面白く感じられます。こういった作品嫌いじゃないッス。こうした海外を意識した硬派なアニメ作品が今後増えてくると思いますし、そういったこれまでとは少し違う挑戦をした作品が登場してくることに期待したいですね。

 ただ……最近は海外でもなろう系異世界転生ファンタジーが人気になっているそうです。あれですかね、日本以上に人種問題や格差問題が深刻な海外だからこそ、現実逃避の観点から環境をリセットして物語が始まる異世界転生に共感するのでしょうか? それとも単純にハイファンタジーの本場として人気になる土壌が整っているからなのかしら?

 まあ国内でのなろう系人気に鑑みれば、なろう系はほっといてもアニメ化していきますから、「+Ultra」が狙う作風としては海外ドラマのような硬派なものになるのでしょうか。このまま海外のなろう系人気が加速すれば……「+Ultra」はなろう枠になっていくのかも!?

 とにもかくにも、これまでとは違う新しい発想によるアプローチでアニメを公開しているのが「+Ultra」というアニメ枠です。

 最後にですが、これまで放送された「+Ultra」枠の作品について、簡単な感想を。

『INGRESS THE ANIMATION』

 SFアニメらしい綺麗な映像美。ストーリーも、序盤は美女との逃走劇から始まり、中盤からは敵だった人物が味方となっての追跡劇といった、少年漫画並みに熱い展開は必見です。ちなみに、個人的2018年秋アニメのベストアニメに選出しました。

『revisions リヴィジョンズ』

 第1話の衝撃が印象的な作品。あそこまで秀逸な第1話はなかなかないと思います。以降も、王道的な時間SFやロボットものの要素を取り入れつつ、少年少女の成長物語として見応えのある内容は素晴らしいの一言。個人的2019年冬アニメベスト5入りした傑作SFアニメでした。

『キャロル&チューズデイ』

 こちらも第1話が素晴らしいアニメ。音楽とSFを組み合わせた作風で、SFとして最先端を感じさせる世界観であるものの、音楽活動においては古き良きを感じさせるオールド感があり、新旧という相反するものが融合した内容。これこそ海外ドラマのフォーマットをアニメに取り込んだ作品。(個人的に第1話がピークでした)

『BEASTARS』

 まさに、ハイスクールドラマを擬獣化にしてみた、といった具合のアニメ。学園内の陰鬱な雰囲気と動物的な野生がうまくマッチしていて素晴らしい。とくに細かい世界観設定の描写が秀逸であり唸らされます。

 あと来期、2020年冬アニメでは『空挺ドラゴンズ』が「+Ultra」枠で放送開始されますので、来年も「+Ultra」枠に期待したいです。

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